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2004年1月
Vol.4 子育てしながら大学生1月に入り、デンマークでは雨やみぞれの日が多くなりました。それとともにまた一段と寒くなったような気がします。街ではクリスマスシーズンに売れ残った商品がバーゲンセールにかけられています。クリスマス、新年というイベントもすっかり終わり、また平常どおりの生活に戻っています。
さて、今回は大学で勉強している、子育て中のお父さん、おかあさんについて、ある新聞記事を引用しながら書きたいと思います。この新聞は週末を除く毎日、駅やバスの中に置かれ、無料で読むことができます。毎朝通勤、通学のバスや電車の中で、2種類あるこれらの新聞を人々が読んでいる様子は、デンマークでよく見られる光景の一つです。 Urbanというこの無料の新聞にある日、奨学金で大学教育を受けながら、子育てをしている(あるいは子育てしながら大学へ行っている?)親についての記事がありました。この記事によると、デンマークでは現在4万人の子どもが、両親どちらかが学生であるという家庭で育っているようです。さらに2002年には2万8千人の親が奨学金を受けている状態(つまり学生)で、その数は6年前の1.5倍になっているといいます。 これは日本でいうところの学生結婚とはまた少し違うようです。デンマークでは、仕事をしていても、他の専門的な仕事に就きたいと思った場合、その分野の教育をまず受けなければいけません。職業と専門教育がある程度リンクしているといえます。そこで、子どもがいる家庭を既に持っていても、将来の収入ややりがいのある仕事を求めて、現在の仕事をやめるか、パートタイムに切り替え、学生に戻るということになります。学費は無料なので、学費の心配はいりません。しかし、子どもを育てている場合、家族や子どもと過ごす時間、生活費、教材費など、時間や経費についてよく考えなくてはいけません。 そこでまず頼りにするのがSUと呼ばれる奨学金です。これはデンマークで高等教育を受けている学生の多くが受け取る奨学金です。親の収入ではなく、本人の収入に従って受け取れるかどうかが決まる奨学金です。これは返済不要ですが、税金がかけられており、受け取る奨学金の中から税金を払う仕組みになっています。このSU以外にできる限りのアルバイトをして、学生生活と家庭の両方をこなしているデンマーク人が増えているのです。
記事には、小学校の教師を目指している31歳の男性が紹介されています。この男性は11カ月の娘さんと、パートナーの女性と3人で暮らしています。彼は今まで色々な仕事をしてきたけれど、将来の収入や年金などを考えて、教師を志すことに決めたということです。新聞には、この男性と娘のラウラちゃんがキッチンに座っている写真が掲載されています。 しかし、パートナーの収入と奨学金、アルバイトである程度の収入があるとは言っても、やはり子育て中の学生家族の収入は、あまり高いとはいえないようです。子育てをしていない学生に比べ、家庭で子どもと過ごす時間などから、あまりアルバイトができない場合もあるようです。
デンマークの教育省(日本の文部科学省)の大臣であるウラ=トュアネス氏(女性)は、この現状について、子育て中の学生が不利にならないように、彼らのために別の規則を設けるべきではないかと意見を述べています。 子育てをしているからといって、その人たちの仕事への機会が奪われてはいけない、という発想から、教育を受ける権利も保障しようということでしょうか。しかしその一方で、子どもが特に幼い時には、親はできる限り子どもと過ごす時間を作ることが大切だ、という意見ももちろんあります。これは外で仕事をしている親がとても多いデンマークでは、一種のモラルになっていると言えます。外で働くかどうか、という議論ではなく、いかに仕事(あるいは教育)と家庭にバランスを保ち、子どもと過ごす時間を作るか、ということが議論の焦点になっているようです。 |