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2004年3月
Vol.6 大人も子どももフレックス3月に入って少しずつ暖かくなってきました。冬のデンマークはほとんど曇り空で灰色の空だったのですが、最近では朝、暖かい日差しとともに小鳥が鳴くようになってきました。日もだいぶ長くなり、夕方は6時ごろまで明るいです。現在ヨーロッパでは冬時間ですが、3月下旬には夏時間に戻ります。つまり、時計を1時間早めることになります。もう春もそこまできていて、人々の表情も、特に暖かい日は明るく嬉しそうです。
今回はフレックス制について少し書きたいと思います。これは会社などで働く時間のうち、コア時間以外は何時に来て何時に帰るかを自分で決められるという制度で、日本でもこの制度を採用している職場はあると思います。デンマークでも特に企業などでは、この制度を採用しているところが多いようです。例えば、子どもがいる家庭では、父親が子どもを保育園に連れて行くために少し遅く出社し、母親が子どもを迎えにいくために早く帰宅する、というパターンをとっていることもあります。以前は母親がパートタイムで働くというパターンも多かったようですが、最近では、フルタイムで働いても、出社・帰宅時間を自分で決められるので、子どもが幼くてもフルタイムで働くことを選ぶ人も多いようです。
このフレックス制は、保育園でも採用されています。保育園では、親の都合に合わせて、いつ、何時間保育園にいるかを決められ、保育料金もそれに比例しています。私の個人的な印象ですが、デンマークの保育園では、全体で何か行事をする、ということが日本に比べて少なく、昼食を食べたり、一緒に歌を歌ったりする時以外は、基本的にやりたい人がやりたいことをする、ことが多いようです。天気がよければ散歩に出かけますが、それでも「行きたい人は一緒に行く」というもので、必ず全員で行く、ということはないようです。子どもの年齢も4歳から6歳まで(*1)ですが、年齢に応じてクラスや活動を分けることもなく、異年齢の子どもたちが一緒に生活しているという感じです。ただ、年長の子どもたちは、学校に入学する時期が近づくと、学校での生活時間に戸惑わないよう、練習時間を設けていることもあります。これは、最近日本で言われている「小1プロブレム」に似ている現象で、小学校に入学した子どもたちが、学校での授業や生活時間に慣れるのに時間がかかり、授業中好きなことをしたり、一人で教室を出て行ったりすることが問題になっているというものです。保育園と小学校との生活時間はとても違うため、互いの段差を低くしようと、最近では様々な取り組みが行われています。 年長の子どもたちの中でも、まだ学校入学の準備ができていない子どもたちは、学校入学を1年から2年待つということもあります。これは保育士さんと父母が子どもの様子について相談し、学校での生活に適応するのがまだ早い、と判断した場合です。日本人の私からすると、同じ歳の他の子どもと比べて成長が遅いと判断されたようで、ネガティヴに捉えてしまいますが、むしろ準備ができていないのに学校に入学するのは、その子どもにとって良くないと考えているようです。子どもたちは、年齢が同じでも成長はそれぞれ違うし、準備ができてから学校で勉強する方が、より良い結果につながると考えているようです。個人が中心の国ならではだなと感じてしまいます。ちなみに2002年では男の子の20%、女の子の12%が1年遅れで学校に入学しているということです。
これらのことをみると、日本では子どもの社会でも大人の社会でも、全体で一緒に過ごすということがとても重視されているな、と改めて感じます。他の人々と一緒に過ごすことから学ぶことが多いと考えられているからかもしれません。フレックス制があまり一般化しないのも、保育時間や活動が固定されていることも、もしかしたら、文化的な価値観からきているのでしょうか。 (*1)デンマークでは、1歳から3歳児は乳幼児託児所を利用し、保育園は4歳以降です。 |