Web版「kyoto子連れパワーアップ情報」デンマーク子育てウォッチングVol.12
デンマーク子育てウォッチング
2004年11月

Vol.12 外国人政策の現状(1)

デンマークは、他のヨーロッパと同じく移民や難民の多い国です。1960年代前後から、東ヨーロッパ、トルコ、アジア、アフリカなどから、労働力として、或いは戦争からの逃れるために、たくさんの移民、難民を迎えてきました。その後も外国人の数は増え続ける一方でしたが、近年ではその数値は停滞しています。というのも、現在の移民、難民政策に疑問を持つ人々が増えたこと、そしてその政策にメスを入れる政府が登場したためです。今回と次回は、外国人政策についてリポートします。

line
【外国人の入国を厳しく制限】

移民、難民というと、日本から来ている私のような留学生は関係ない、と考えがちです。しかしデンマークでは「外国人政策」という名のもとに、外国人の間に差別、区別をせず、平等に扱うという対応をしています。つまり日本人でも、近年では、滞在ヴィザ(観光ビザを除く)を取得するのがとても難しくなっている状況なのです。学生ヴィザを取得するための要件(残高証明書、受け入れ機関の承諾等)を全て満たしている場合でも、様々な理由を根拠に、なかなか滞在許可が下りません。これは学生だけでなく、仕事を目的にデンマークにやって来た日本人に対しても同様です。このために、目的を果たせずに帰らなければならない人々が毎年います。

line
【平等主義は外国人にも】

このような例だけを見ると納得がいかないことが多いですが、これまでデンマークは、様々な社会支援やサービスを、外国人にも、デンマーク人と対等に提供してきました。一度滞在許可が下りれば、それまで税金を払っていなくても、医療、教育は無料、失業すれば失業手当が支給されます。移民や難民の人々の生活もしっかり保障されます。そして無料でデンマーク語の学校に通う資格も与えられます。多くの外国人がこの語学学校で、基本からデンマーク語を学びます。

フュン島のある田舎町
<フュン島のある田舎町>

これは、外国人をデンマーク社会に統合するための政策(integration)のひとつで、外国人がデンマーク語をできるようになることが、デンマーク社会で、今後、働いて、生きていくためには必須であるという考えのもとに、無料で提供されてきました。このデンマーク語教育もやはり、国や滞在理由を問わず、全ての外国人が対象です。私もこの1年間無料で通ってきました。

line
【外国人政策の課題】

しかし近年では、これらの外国人政策に充てる財源を削減し、また外国人の受け入れ自体を制限し始めています。というのも、様々な方策を試みても、移民や難民として入国してきた外国人が、社会的弱者となることが多いこと、またそれに伴い、生活支援の支出が彼らに多く流れることに、デンマークの人々が疑問を感じ始めたからです。

この問題を解決するには、やはり外国人が、デンマーク社会で自立して生きていくことが重要になります。自分で働いて税金を納める。この仕組みに外国人が組み込まれることがまず必要です。しかし現実には、デンマークの失業率自体が低くないこと、そして、デンマーク人でなければ採用されにくい現状などがあり、やはり外国人が社会的援助を受ける割合が高いのです。現在は、こんな悪循環な状態が続いている印象があります。結局は、デンマーク語教育を始めとする、統合政策をいかにうまくやるか、という問題だと思います。

line

近年では、統合政策にも過激な発言があり、例えば「外国人が、一定年数以内にデンマーク語試験に受からないと罰金を払え」などという提案などもあげられています。外国人政策に、どれだけのコストをかけ、そしてどれだけの成果をあげるのか、あるいは、果たして同じ人間であるのに、特定の人たちに「コストと効果」という形で向き合ってよいものなのか、デンマークの人々はこれらの問題への関心を今高めています。

(次回に続きます)
前のページへ デンマーク子育てウォッチングトップページへ 次のページへ

Copyright(c)1998-2005 “おふぃすパワーアップ”. All rights reserved.
E-Mail:office@office-powerup.com
URL:http://www.office-powerup.net/