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2004年12月
Vol.13 外国人政策の現状(2)前回に引き続き、外国人政策について書きます。今回は特に移民としてデンマークに暮らす人々の子どもたちに注目して書こうと思います。
【学力調査と移民の子どもたち】
最近、日本でもおそらく話題になったと思われるPISAという学力調査の結果がデンマークでも公開されました。これは2000年から3年ごとに行われる学力調査で、約40カ国の15,16歳の子どもたちの国語・数学・科学の基本的な学力を調査するものです。その結果とデンマークでの議論についてはまた別の機会に書きたいと思いますが、大きく問題視されているのが、移民の子どもたちの国語に関する学力が著しく低いという点です。ある新聞によると、移民の背景をもつ15歳の子どもたちのうち、約半分が国語(デンマーク語)に相当の問題があり、他の科目を勉強する上でも支障があるとも書かれています。そして高等教育に進学する割合も移民の子どもたちはデンマーク人の子どもたちと比べて低いこともあり、彼らが将来仕事をする上では、困難が多いと書かれています。
【移民の子どもを均等に配置?】
その一方で、コペンハーゲン市は数年後から、移民の子どもたちを市内の複数の小学校に均等に分けることを検討し始めています。これはいくつかの小学校が70%以上の移民の子どもたちで占められている一方、他の小学校は10%以下しか移民の子どもが通っていないというアンバランスさがあることが原因の一つです。「移民の統合を成功させるためには、デンマーク人の子どもとそうでない子どもが、ある程度均等に学校にいる必要がある」という市長。移民の子どもたちが、デンマーク語を使って学校生活を送るためにも、そしてデンマーク人の子どもが移民の子どもたちとの学校生活を経験するためにも、両者が均等にいることが重要だと強調しています。 一方で、この方法に反対する人々もいます。例えば、デンマーク人の子どもたちは行きたい学校に行く権利があるのに、移民だということで、市から行く学校を指定されるのは平等ではない、という意見です。また、子どもたちを無理やり移民か、移民でないかで分けることだけで、本当の統合が実現するとは思えないとも言われています。さらに移民支援の団体からは、そのような政策は、結局デンマークの文化の方が優れていて、移民の子どもたちはそれをしっかり学べというような固定的な関係を作ってしまう危険性があると指摘しています。
【統合か同化か】
“Integration(統合)”という名の下に様々な政策や議論がなされるデンマークですが、この問題はよく「統合政策か、あるいは同化政策か?」ということがポイントになるようです。もちろんデンマークの人々は、日常的に移民の人々を差別したり排除することは、私自身あまり目にしたことはありません。しかし、このような政策が議論されると、私はデンマークの人々が自らの文化や伝統を必死に守ろうとする動きがあるように感じてしまいます。移民の数が日本とは比べられないほど多いデンマークでは、放っておくと自らの文化が消えてしまうという危機感があるからでしょうか?移民の子どもたちが、デンマーク語もしっかり学びながら、なおかつ彼ら自身のアイデンティティが保てるような教育改革ができないものだろうか、と考えてしまいます。 |